インプラントは所詮人工物にしかすぎませんので、生まれたときに生えてくる天然の歯にはかないません。
しかし、欠点をおさえながら管理をしていけば、天然の歯と同等、あるいはそれ以上の機能を回復させることが可能なのです。
しかしながら、インプラントのメリットばかり説明するのではなく、デメリットの部分も理解して頂く事は必要でしょう。
ここでは、インプラントのリスクとデメリットと必要性についてご説明致します。
インプラント治療には、フィクスチャーを顎骨内に埋入する手術が必要です。
いわゆる外科処置が必要となりますので、それに伴う危険性(リスク)も出てきます。
(1)1次手術のリスク
上顎:上顎の場合は、上顎骨内にインプラントを入れるわけですが、
この上顎骨は、各個人で骨の硬さが異なり、中にはタイプW(4)と呼ばれる軟性骨の場合があります。タイプW(4)の骨で通常のドリルによる埋入方法ですと、インプラントと骨はオステオインテグレーションしません。
・上顎前前歯部には鼻腔、白歯部には上顎洞と呼ばれる副鼻腔があり、インプラントの長さが制限されます。もし、制限以上の長さのインプラントを入れるとこれらの組織を傷つけてしまいます。
手術前に骨質、さらに骨の幅と厚みを正確に測定することが重要です。
下顎:下顎は骨質が硬く、骨質が問題になる事はまったくありません。臼歯部では、下顎管(下顎神経と動脈が中に入っています。)の影響を受けます。下顎管までの正しい距離と骨幅を測定しなければインプラントが下顎管に余り近づけすぎたり、ドリル時に下顎管を傷つけたりすると、知覚異常が起こります。
私達の医院では、ドリルにストッパーがついたサージガイドを使うことで正確な長さのドリルに心がけています。
前歯部では、舌下動脈の分岐が下顎骨内に入っていることが稀にあり、この場合は注意が必要です。
天然歯と同じように、インプラントにも良好な口腔衛生が必要になります。
口腔衛生状態が不十分な場合は、インプラントの治療を行えない事もありますし、インプラント治療ができたとしても、不十分な口腔衛生状態が続くと、インプラントの脱落などの原因になります。
当たり前の事ですが、インプラントには神経がありません。
ですから感染が起こっても自覚がありません。
グラグラ動いてきたり、膿が出はじめて感染に気がつくのですが、こうなってからでは手遅れなのです。
くれぐれも、インプラント治療後は医師の指示に従い、必ず定期健診を受けて下さい。
良好な口腔衛生を保つ為には、定期的な検診(通常6ヶ月ごと)と、毎日のブラッシングとフロッシングが必要不可欠です。
細菌は歯垢、歯石のなかに細菌の集落を形成しますので、定期的な歯垢、歯石の除去が必要なのです。それらを除去する際に、インプラント表面はチタンの滑択な面になっていますので、金属製のスケラーや粗い粒子を持つポリッシング材では逆に表面を傷つけてしまいます。特殊なフロスから歯ブラシ、口腔洗浄剤まで様々な口腔ケア用の製品がありますので、医師に相談し、あなたにあった方法を選択しケアしてください。
通常、咀嚼により歯が嵌合している時間は30分/日程度ですが、それが悪習癖(歯ぎしり、食いしばり)を持つ方だと、2〜3時間にも及び、インプラントに悪影響を及ぼすといわれています。
このようなインプラントに悪影響を及ぼす因子を把握する為に、咬合のチェックやオステルによる骨に対する固定度の把握を定期的に行うメンテナンスも重要です。
歯周病に関しても問題となります。
インプラントにすれば歯周病の心配がなくなるというのは大間違いです。
歯周病細菌の出す毒素によってインプラント周囲の骨がなくなる、つまり天然歯の歯槽膿漏と同じよう様な状態になることが分かっていますが、インプラント周囲の結合組織線維は非常に単純で天然歯より感染しやすいといわれているので、より一層の注意が必要となってきます。